「私、子供できたら仕事に復帰する気ないですねえ」
仲のいい同僚が年末に結婚することになっている。
職柄、女性陣のほうが向いている(というか頭1つ分スキル的に抜けている)のだが、会社の意向というか方針で、新入りは男性を多く採り出している。
俗な話だが、早退をはじめ、産休はかなりの痛手なのだ。
社長自ら「あ、ちょっと子供はもうちょっと待ってね」と頭を下げる始末。
男女雇用なんちゃらができて久しいが、そんなものは紙の話であって、実情はもっとこすからい。
風当たりはよくないし、後ろ指も差される。そんなのシングルどものひがみだろ、と笑える間はいいが、そんなものは長くは持たない。
「子供がほしいと思ったら、たぶん、私は社会人をおりることになるんだろうなあ」
専業主婦になるということ。母になるということ。
だんなに養ってもらえていいよなとか、仕事しないでいいよなとかいう話は、もう昔の話であって、仕事からおりるというのは、転職や引越しなどとは違うのだ。リセットではなく、ほぼシャットダウンになるのである。
陰口をたたく人間たちの想像を超える、孤独と諦念とせつなさがあるのだ。
この仕事は1週間でもその場を離れると、スキルが顕著にがた落ちする。
スポーツ選手と同じでメンテナンスが必要なのだ。
「第二の人生を謳歌するチャンスだと思えばいいじゃない」
私にはこれしか言えない。私たちにはそれぞれ、仕事以外に、生きがいというものがある。
生きがいがまだないのであれば、きっと大事なことがほかにある。
大事なことさえまだみつからないのであれば、心のどこかで見つけたいとおもう願いがある。
始まりと終わりの繰り返しの人生で、その繰り返しを何度もこなしていくと、平等に死が待っている。
その死を迎えるまでに、なるべく後悔しないような生き方をしてくれればと切に願う。私もそうしたい。
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