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二の足

 治験モニターにあそびに行った友人から随時シャメがおくられてくる。
 一日に10回も採血をするのだというから舌を巻く。退院するころには、さぞジャンキーな腕になっていることだろう。夜道を歩けば職質まつりである。むしろ通報してやろうかしら。

 聞けば四泊五日で十ウン万だとか。報酬はピンキリだが、この数字は平均値らしい。高いところだとウン十万だとか。
 ただいま三日目で、20人いるモニターのうち3人が理由不明のままいなくなったとかなんとか。消灯後に廊下から聞こえてくる看護婦の声のなかには、「腹くだして帰ったらしいわよ」「よくあることなんですか」「うちでは初めてだわ」という、なにやらニヨニヨしたくなる物騒な話があったとか。
 入院を経験したことがある人ならわかるだろうが、とにかく暇なのである。
 いまでこそ携帯電話やら、ノートパソコンやら、ゲーム機やら、暇をつぶすためのガジェットはいくらでもあるが、昔は読書くらいしかなかったのだ。あとはトイレと、自動販売機前の休憩所くらいしかない。

 点滴を刺さされたまま廊下を歩くのもまた苦痛。こういう言い方をするのはなんだが、病院にもシーズンというものがある。それは患者が増えるという意味もあれば、見舞いにくる人間が増えるという意味もある。
 GW、お盆、年末年始などはもう地獄である。

 私なんかは高1のころに胃炎で一週間、優雅な(苦笑)病院生活を満喫させていただいたが、人間三日間ベッドに横たわったままだと、宇宙病とおなじように、うまく立てないのである。
 四日目に点滴をぶっ刺されたまま廊下に出てみると、いかんせん連休中だったせいか、元気な子供たちがやんちゃな子豚のごとく前を見ずに走ってくる。

 生まれたての小鹿のごとくプラプラしてる私の足は、前方を警戒せずに突進してくる子豚どもを避けきることができず、すってんころりん兼点滴の針が抜ける、である。
 注射が大嫌いな私は、もう一度針を刺されなくてはいけないことにうんざりして、立ち上がることもめんどうになる。
 豚どもの親御さんがかけつけて、大丈夫ですか! とお声がけくださったが、大丈夫ではないのである。針が! 針が抜けたんだお! と吠えたかった。

 というわけで、先端恐怖症の私は、治験での採血をものともしない知人を尊敬している。
 だいたい、300ml以内の採血といわれても、私にとってはどんなに血を吸い取られようが問題ではないのである。針なのである。針なんとかしろし。
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