図書館帰りにほぼ通っているともいえるスクールカフェに、顔なじみの店員ができた。といっても彼女の性格に助けられているだけであって、こっちが勝手に顔なじみぶってるだけだったりして。あまり社交的ではない私にとって、彼女の淹れるコーヒーはとてもおいしく感じてしまう。
パソコンを開く前に、階下で購入した雑誌をパラパラとめくり、麻雀の漫画(兎12巻)を読んだ。あいかわらず面白い。この巻の主人公は間違いなくアマンダとジャッカルだと断言できる。
今まで唯一、どんな相手と対局しようと汗水一滴垂らさなかったジャッカルが、奥歯を噛み締めながら眉を歪めて一局一局を打つ姿は見物。またアマンダが開始直後から「ZOOを憎めない」と体調を崩し始める姿も見物。ZOO側の爆弾がフェネックであるなら、DD軍側の爆弾がアマンダであることにも興味をそそられる。
あまり触れられなかったジャッカルの過去の描写と、アマンダの葛藤がうまい具合にマッチしている。ジャッカルはアマンダの姿に自分を見たのか過去の親友を重ねたのかわからないが、勝負後にアマンダを誘ったときの笑顔はとてもいい。
笑顔といえばアマンダの覚醒瞬間の微笑みは極上だった。ZOOにほだされたと勘付いたDDはアマンダを見限り、持ち点8000の彼女から7700を直撃。そんなアマンダは与那嶺に嘔吐して覚醒するなど、本当に伊藤氏は期待を裏切らない(ライク・ア富樫氏ズ・ペースだが)。覚醒後のアマンダはDDにまったく引けを取らぬ勢いで連荘し30000点以上まで巻き返しDDを押し返すが、アマンダの波をへし折るようにDDが倍マンヅモを引き当て、ウルフとアマンダは落選決定に。残すジャッカルのラス親の場面を迎え、DDを相手に各々が尽力しようとするシーン。
次巡DDのツモを回せば確実に彼の一人抜け決定であろうという直前、DDの当たり牌を引いたアマンダは彼に差し込むことでも幕を引けてしまうはずの場面に、DDへの宣戦布告ともとれる、最後までDD以外の誰かが抜ける可能性を最後まで信じてガメていただろうZOO側への当たり牌差しこみは、その場にいたほかの三人はもとより、モニター越しで見守る誰もが目を疑った。その一打に見せたアマンダの会心の笑顔に、ジャッカルもこの上ない笑顔を返すというシーンは間違いなくこの巻のさわりだろう。
今回は一気にケイト、ルーシー、ジャッカルとウルフの過去が語られたが、やはりアマンダの対局がとても印象的だった。母親に見捨てられた過去を持つジャッカルはアマンダに情を寄せたのか、子供をなめるなとDDに敵意を燃やす。アマンダは自身の魔女の力で他者を呪う力を疎みDDに身を寄せるが、人形のままでいることがいやでついてきたというのに、何も変わっていないということをZOOとの麻雀で気付かされた。
この作品に限ったことではないが、登場人物の持つ背景が、他者の背景とリンクするものがたくさんある。それも仲間内同士でのリンクだけではなく、敵対する相手ともリンクするのだから面白い。
大事な人間を傷つけられ復讐心に燃えるタンチョウとサル、親を奪われる憎悪を断ち切るカナとチャップマン、死と隣り合わせの状況に生きがいを求めるケイトとフェネック、いつか放ちたい爪をくすぶっているロドとクマ、劣勢と蔑まれて這い上がろうとするクリスと優、負けることと勝つことの対極を求めるバーニーとウルフ、呪われた運命に立ち向かうアマンダとジャッカル、腹違いの息子に敵意を抱くルーとヴィヴィアン、贖罪と憧憬のぶつかりあいがやがて同じ地点に着陸する団長とシャモア。ほかにも共通しているメンツはたくさんいるが、これほど登場人物に血を通わせる漫画もそう多くはないだろう。意外にネコとDDが両者とも生き急いでいるような描写が似ている気がする。主人公とヒロインの見せ場がまだこないが、次回は見せてくれるだろうと期待。ウサギの成長が急激すぎるのも抵抗があるが。ネコを病院送りにしたアマンダだが、意外とあっさり仲直りしそう。納得いかないサルがキャッキャ言う絵が浮かぶ。
どうにも不気味なのが、ラスボスのヴィヴィアンでもDDでもなく、本戦に生き残っているバーニーとフェネック。なにかしでかしそうな予感はするがはてさて。まあ、13巻をおとなしく待ってみるとしよう。予想、2011・8月。
P・S ルーの「はい、邪魔ぽんですがなにか」には私も思わずうけました。なんか自分を見ている気分。
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